健康は人それぞれで、いろいろな「健康」があります。
まったく病気のない人はそれこそ文字通り「健康」そのものです。
定期的に健診を受けて、病気になっても病気を早く見つけるように意識して、日々の食事や運動に気をつけることが大切になります。
私はこれまで主に糖尿病、高血圧や脂質異常症など、生活習慣に関係する病気の診療をしてきました。
糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、血糖値が高いだけでは、病気に気づくことは難しいです。
糖尿病を放置していると、合併症として、神経が痛んだり、眼が見えなくなったり、腎臓が悪くなって透析になったりするのですが、合併症が出現してからようやく糖尿病に気づく患者さんも多くいらっしゃいます。
いったん「糖尿病」と診断された場合、糖尿病が根治するケースは稀で、ほとんどの場合は治りません。
なので、糖尿病に早めに気づき、こうした合併症を引き起こさないように、血糖値をしっかりコントロールして上手に付き合うことが重要です。
病気があっても軽症で、仕事や生活に支障がないのであれば、それは大切に守られなければならない「健康」だと思います。
一方で、糖尿病の管理が悪かったために、脳梗塞や心筋梗塞など、動脈硬化が関与する病気になってしまい、入院して治療を行った患者さんも数多く見てきました。
これらの重症患者さんがリハビリテーションを行い、退院して自宅に戻る過程は、現代ではしばしば「当たり前」と思われてしまいがちですが、もっと賞賛されるべき医学的な進歩だと思います。
患者さんに引き続き通院してもらい、社会復帰しつつ再発しないように現状を維持することは、医師としての義務であると同時に、とてつもない喜びです。
こうした方々にとって、制限はあってもリハビリテーションを通じて再獲得した機能は、かけがえのない「健康」だと思います。
少し専門的な話になりますが、糖尿病性腎症の悪化に伴い、慢性腎臓病(CKD)は少しづつ着実に進行します。
CKD stage G3b~4の患者さんがすぐに透析にならないように、なるべく進行を遅らせるような治療を心掛けることも、生活のQOLを保つという意味で「健康」に大きく関わっているのだと、日々痛感しています。
「健康」は、自分らしい生活をするために前提となる、誰もが持っている財産なのですが、失って初めて気づく方も多いようです。余りにも近くにいて、空気のような存在なので、気づかないのですが、私は皆さんに、自分が「健康」なのだと気づいて欲しいです。
「まわりに迷惑を掛けたくない」と思って縮こまらず、ただ生きるのでもなく、「健康」と「自由」を謳歌して、前向きな気持ちで、好きなことをやって、日々楽しんで生きて欲しい。
自分らしく生きる、そのサポートをしたい、そう思い至って、開業することにしました。
生まれ育った街、仙台で開業できる喜びは、私の文章力ではとても及びません。
初心を忘れず、常に初心で、皆様の人生に良い影響を与えられる存在を目指して、精進します。
令和7年1月
国見ヶ丘内科・糖尿病クリニック
院長 小野寺 啓